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ijigenのデジタルものづくりブログ

「Simply Cloth」使い方&レビュー!めんどうなクロスシミュレーションの設定を、支援してくれるBlenderアドオン

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Blenderのクロスシミュレーションは楽しい!けれど、よくわからない項目が沢山!そして設定に時間がかかる!というわけで、布の設定が簡単に出来るアドオン「Simply Cloth」を使ってみました(・ω・)ノ

本記事のYouTube版はこちら

Simply Clothについて

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「Simply Cloth」は有料で配布されているアドオンです。Blender Marketなどで販売されています。

 

ちなみに私は、Blender Marketにて購入しました。

 

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私が購入した時の価格は「19ドル」でした。

※その後、バージョンアップにより価格が上がったようです。有料アドオンの価格は全体的に上昇傾向にありますね…

なお、このBlenderアドオンの作者の方は、他にも面白そうなアドオンを作っているみたいなので、こちらも要チェックです。

VjaceslavT Store Front - Blender Market

 

※同じ作者の方が作った「Simply Concept」というBlenderアドオンも、購入してレビューしてみました。こちらも良ければご覧ください。

使い方

「Simply Cloth」のバージョンアップにより、使い方が変更された箇所があるかもしれません。

インストール方法

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インストール方法は一般的な方法でした。(助かる!)

まずはBlenderの「Edit」から「Preferences...」を選択します。

 

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表示された「Blender Preferences」ウインドウの左側の項目から「Add-ons」を選択し、ウインドウ右上の「Install...」をクリック。

 

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Blender Marketからダウンロードしてきた「Simply Cloth」のZIPファイルを選択します。

※ZIPファイルは解凍しないようにしてください。特にMacユーザーは要注意です。Safariの初期設定だと、ZIPファイルはダウンロードした時点で自動解凍されてしまいます。自動解凍の設定を変更するか、Google ChromeやFirefoxといったSafari以外のウェブブラウザを使用する必要があります。

 

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「Install Add-on」をクリックします。

 

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最後に有効化をします。「Object:Simply Cloth」のチェックボックスにチェックを入れます。

 

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Blender Preferencesを閉じて、Blenderを再起動しましょう。これでインストールは完了です。

パネルの表示方法

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「N」キーを押すと、画面右側にサイドバーが表示されます。

サイドバーには、インストールしたアドオンがタブ表示されます。

 

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タブの中から、「Simply Cloth」を選択します。

 

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「Simply Cloth」のパネルが表示されます。

 

実際に使ってみよう

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まずは布となるメッシュオブジェクトが必要です。今回は「Grid」を使って試してみることにします。

「Add」から「Mesh」の項目を選択し、「Grid(グリッド)」を選択し作成します。

 

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画面左下に、作成する「Grid」の詳細が表示されます。

今回は上のような値で作成しました。

X Subdivisions:20

Y Subdivisions:20

Size:4m

Location Z:2m

 

※もしもよくわからない場合は、動画の方も参考にしてみてください。

 

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このような状態になっていればOKです。

 

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先ほど作成した「Grid」を選択した状態で…

 

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「Create Cloth」をクリックします。

 

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選択したオブジェクトに、布のシミュレーションの基本設定が自動で適用されました。

(モディファイアのプロパティを見れば、どういった設定がなされたか確認出来ます。)

 

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「Play」ボタン(または、スペースキー)をクリックしてみましょう。シミュレーションが開始されます。

 

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シミュレーションが開始され、「Grid」が落下していきます。

しかし、立方体を突き抜けて落ちていってしまいます。これは、立方体に衝突の設定がされていないからです。

 

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「Reset」ボタンを押して、一度シミュレーションを止めましょう。

 

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立方体を選択して…

 

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「Collision(衝突)」の項目から「Activate(有効化)」をクリックします。

これで立方体に、衝突の設定が出来ました。

 

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Gridを選択して、もう一度「Play」ボタンをクリックしてみましょう。

 

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無事に立方体の上に「Grid」が乗っかり…

 

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布のように歪みました。しかし、少し大味すぎますね。

細かい部分を調節して、よりリアルさを感じる布にしていきます。

メッシュの細かさの調整

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これは「Grid」のメッシュが粗すぎるためです。

基本的には、メッシュが細かければ細かいほど、細かいシワが出来て、リアルさが出ます。(パソコンの負荷も増えますが)

「Simply Cloth」のパネルから「Subdivision(分割)の値を上げてみましょう。今回は値を「2」にしてみました。

設定が済んだら、もう一度「Play」ボタン(またはスペースキー)を押してシミュレーションをしてみましょう。

 

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先ほどのシミュレーションよりも、細かいシワが出来て、よりリアルさを感じる結果になりました。
布の突き抜けに関しては、Self Collisionの項目にて後述します。

 

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なお、「Wireframe」ボタンを使うと、簡単にワイヤフレーム表示に切り替えることが出来ます。(ありがたや)

 

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メッシュの細かさが分かりやすいですね。

このようにクロスシミュレーションに使う項目が、パネルにまとまってくれていてとても便利です。

 

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なお、「Smooth(表面の滑らかさ)」などの値も、このパネルから調整出来ます。

※なお、スムーズシェーディングに関しては、自動で適用されないようです。そのため自分で適用する必要があります。

オブジェクトを選択し、右クリック、「Shade Smooth」を選択で簡単に適用出来ます。

 

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Smoothの値を5にしてみました。

先ほどよりも、少し滑らかな印象になりました。

プリセットについて

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布の硬さなどを1から設定するのは、少々面倒です。「Simply Cloth」に収録されているプリセットを上手く使うと、より効率的に設定が出来ます。

しかしプリセットを使うにしても、細かい値は自分で設定する必要があります。

Cloth Parameterについて

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プリセットを選択した後に「Cloth Parameter」の項目を調節して、自分の理想の布に近づけていきましょう。

ここのパラメーターについて、色々実験してみました。いくつか解説をいたします٩( 'ω' )و

Self Colision(自己衝突)について

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Self Collisionは、布自身の衝突の設定です。この項目がオフになっていると…

 

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布同士がぶつかった時に、突き抜けてしまいます。

 

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「Self Collision」をオンにすれば…

 

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布同士がぶつかっても…

 

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突き抜けません。リアルさが欲しいときは、必須の項目ですね。

※もし「Self Collision」をオンにしても突き抜ける時は、シミュレーションのクオリティを上げる必要があります。

シミュレーションのクオリティを上げる

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突き抜けを防止し、より高品質なクロスシミュレーションを行いたいときは、シミュレーションのクオリティの値を上げます。

左がクロスシミュレーションのクオリティで、右が衝突のシミュレーションのクオリティです。

 

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この値が低いと、マシンへの負荷は減りますが、雑なシミュレーションになります。平気でオブジェクト同士が突き抜けます。

 

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この値が高いと、マシンへの負荷は増えますが、よりリアルなシミュレーションになります。

より良いパソコンが欲しくなりますね…

Weight(重さ)について

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Weightでは、布の重さを変えることが出来ます。Weightの値が低いと 、軽いふわふわの布になります。

 

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逆にWeightの値が高いと、薄いゴムのような重たい布になります。

Stiffness(剛性)について

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Stiffnessの値が低いと、ドロッとした、伸びる布になります。

逆にこの値が高いと、伸びにくいカチッとした布になります。

Folds(しわ)について

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この値が高いと、アイロンをかけていない布のような、ゴワゴワ、シワシワの 布になります。

Wrinklesについて

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Wrinklesは値を増やすと小さなしわが増えました。ちょっと分かりにくいですね…

Shrink(縮み)について

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Shrinkを加えると、キューっと布が縮んでシワシワになります。

Edit ModeとObject Modeでパネルの内容は切り替わる。

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なお、Simply Clothのパネルの内容は、Edit Modeにすると内容が切り替わります。

 

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Edit Modeでは、部分的にメッシュの細かさを変えたり、布同士を縫い付けたり、ピンで止めたり、といったことが出来ます。

Mesh Subdivisionsについて

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Mesh Subdivisionsのボタンを使うと、簡単にメッシュの分割数を増やしたり、分割数を減らしたり出来ます。

Density Paint(密度のペイント)について

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Density Paint機能を使うと、部分的にメッシュを細かくすることが出来ます。

 

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Density Paintで赤く塗ったところはメッシュがより細かく、青い部分はメッシュが荒くなります。

 

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ペイントが終わったらObject Modeに切り替えてみましょう。

※なお、Object ModeとEdit Modeは、「Tab」キーで切り替えることも出来ます。

 

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ワイヤフレーム表示をオンにしてみてください。先ほど赤く塗ったところはメッシュが細かく、青いところはメッシュが荒くなっていることが確認できます。

ピン留めしてみる

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「Simply Cloth」を使うとピン留めも簡単です。

Edit Modeにてピン止めしたい頂点を選択します。(今回はGridの四隅の頂点を選択しました。)

 

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「Create New Pins」をクリックします。

 

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Object Modeに切り替えて…

 

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「Play」ボタンを押してみましょう。

先ほど選択した頂点部分がピン留めされ、布が画鋲で留められたような表現になりました。

※Simply Clothのアップデートにより、この辺りのユーザーインターフェースに変更が加えられた模様です。ペイントで簡単にピン留めが出来るようになりました。

Sewing Toolで布を縫ってみよう

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Sewing Toolで布同士を縫い付けてみましょう。今回はEdit ModeにてGridを「Shift+D」キーで複製し、真上に配置しました。

 

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縫い付けたいエッジを選択します。今回は、手前のエッジ2本を選択しました。

 

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「Create Sewing」をクリックします。

※アップデートにより「Create Sewing」から、「Sew」という名称に変更されたようです。

 

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縫い付けられる部分が表示されます。

 

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「Tab」キーを押して、Object Modeに切り替え「Play」ボタン(または、スペースキー)を押してみましょう。

 

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先ほど選択したエッジ同士が縫われます。これが「縫う」機能です。

 

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なお、「Select Mesh Bounds」ボタンを押すと境界が全て自動選択されます。

※アップデートにより、「Mesh Bounds」という名称に変更されたようです。

 

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そのまま「Create Sewing」(Sew)ボタンを押せば、境界同士が縫われます。

 

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Object Modeに切り替え、「Play」ボタンを押します。

そうすると、座布団のような形に…

 

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なりました。が、萎んでしまいました。

 

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座布団を膨らませたいですね。Gridを2つ選択した状態で、プリセットから「Pressure(圧力)」を選択してみます。

 

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「Play」ボタンを押します。これで膨らむかと思いきや…

 

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上昇してどこかへ飛んでいってしまいました。「Reset」ボタンを押して、シミュレーションを中止します。

 

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これは、圧力のかかる方向が、上方向のみになってしまっているためです。

「Check Face Orientation」をクリックしてみましょう。

 

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面の方向が青色と赤色で表示されます。どうやら、青い面の方向に圧力(プレッシャー)がかかっているようです。

 

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下に配置したGridの面の方向を反転してみましょう。

 

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Edit Modeに切り替えて、下のGridの面を選択します。

 

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「Flip Normals」をクリックして、面の方向を反転させます。

 

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これで、上のGridは上方向に、下のGridは下方向に圧力がかかるようになりました。

 

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Object Modeに切り替えて、「Play」ボタンを押してみましょう。

 

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さぁ、どうなるでしょうか…

 

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空へ飛んでいかず、座布団のような形になりました。

 

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立方体にぶつかって萎んでしまうときは、プレッシャーの値を調節してみてください。

レンダリングで変になってしまうときは…

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レンダリングをした時に、上のような気持ち悪い状態になってしまったときは…

 

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モディファイアの項目の中から、一番上のSubdivisionsの項目の中にある「Render」と「Viewport」の値を同じにしてみてください。

 

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そうすると直りました。(理由はよくわかりません。)

※Simply Clothのアップデートにより、この不具合は無くなったようです。

最後に

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Blenderのクロスシミュレーションは、設定項目が多く、途中で疲れてしまうことが多かったです。

「Simply Cloth」があれば、設定がスピーディーに出来るので、クロスシミュレーションが捗ります。

 

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というわけで今回は「Simply Cloth」というBlenderアドオンを使ってみました。

「Simply Cloth」を使うと、Blenderのクロスシミュレーションが、より快適で楽しくなりますね(о´∀`о)

 

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